Runningと読書の備忘ログ

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家族を「する」家 藤原智美

四十万靖さんの本が陽なら藤原智美さんの本は陰である。読む感触は対局にあるが言っているこは同じである。違った角度で「家族」を見ることによってより多角的に知ることができる。

(抜粋)

・家の問題はいくつかある。夫婦の問題、子どもの問題、親との問題、ただ、その問題のすべては「夫婦の問題に起因する。」

・食卓にのった料理は胃袋を満たすだけのものではない。そこから、会話が生まれ、コミュニケーションが発生する。

・西洋では子ども部屋という概念がない。あるのは夫婦の寝室より少し小さい「子供の寝室」があるだけ。日本の親は子ども部屋で勉強することを望むが勉強はリビングで一緒にする。

・寝室を与えるにしても。「これは貴方のものではない。俺のものを使わせてあげている。だから、綺麗に使うのは当たり前」。

→その考えが結果的に子供の自立を促す。

→やがて、子どもは自立して出ていく存在が子育ての前提。

・最近の子どもは本当の意味で「独り」になり「こもる」ことがなくなっている。こもらずにもっぱら「情報の消費」に励んでいる。

・日本の子どもは世界的に見て「もっとも働かない」。ホームステイしても「皿洗いさえしない」と不良扱いされるのも決まって日本人。彼らが渡航する際に注意書きに「皿洗いを申し出ること、朝の挨拶はすること、自分の部屋は整理整頓すること」などの記述が並んでいる。経済力が貧しい国では子どもは日銭を稼ぎ、先進国では家事の手伝いを積極的にやらせる。大学も自分でローンを組ませ、学費を払わせることによって勉強にも身が入る。

・モノと情報に包囲された現代家族は実に忙しい。例えば車を手に入れたならば税金の支払い、保険はどこのどれにするか、故障の修理、給油、日々の手入れから、チャイルドシートをどうするかといったことまで抱え込むようになる。これらは車がなければ考えなくて済むことである。洗濯機は発明されたことによって劇的に家事がラクになったことは皆も周知だろう。しかし、実際は洗濯機が家庭に入ることによって洗濯に費やす時間は「増えた」それは、「着替え」が劇的に増えたから。便利を受け入れつつそのことによって増やすものがないように。お金も一緒。

・子供が生まれることにより夫婦の意思決定の回数は確実に増える。そこにコミュニケーションが不足すると間違いなく衝突が生まれる。

・恋愛感情は3年で終わるという説や7年で終わるという説があるが「愛の在り方は変化可能」である。愛には持続させるための努力が必要。その為にはコミュニケーションをとれる環境作りが必要不可欠である。

・男と女が結婚して生活していれば自然に「家族になれる」と思っているカップルは将来間違いなく破綻する。夫婦の寝室が子供部屋の2倍以上ある家は住まいの基本軸がどこにあるかを具体的に子供たちに見せることになる。「夫をする」「妻をする」「父親をする」「母親をする」という自覚がないと「家族をする」ということはできなくなる。これが家族を「する」という意味である。

家族を「する」家 (講談社+α文庫)

家族を「する」家 (講談社+α文庫)