「スポーツ万能」な子どもの育て方 小俣よしのぶ
運動はできないよりできた方が良い。そう思って親として勉強する為に手に取った本。こういう本は未知のジャンルなので目から鱗な情報がたっぷりでした。
(抜粋)
・現代の子供の歩数は減少傾向にあると言われている。理想は一日15000歩。
・運動能力とは、言い換えると「コーディションや巧みさ」であり、走る、投げる、跳ぶ、蹴るといった運動を器用に行う能力。
→子供と一緒にコーディション能力を高める。
・本来、片足立ちなどの運動を行う機能はケンケンなどの遊びの中で体験して、自然と養われるが、外遊びの減少等で片足立ちの機会が減り、身についていない子どもが多い。公園に行けばグルグル回る遊具があったが今は「危険だから」という理由で撤去され、本能的な身体のセンサーや運動感覚が刺激される機会が奪われている。他にも「たかいたかい」と上に放り投げると喜ぶのは、身体がフワッとする感覚が好きで、これも感覚を刺激するものだから。
・感覚を磨きのに、鬼ごっこは有効。鬼にタッチされないように、ギリギリのところでかわしたりと色々な感覚が養われる。
・正しい姿勢は見た目にも美しく、究極の体幹トレーニングになる。逆に猫背は疲れやすいや不調の原因になる。
・エネルギー系体力の養成は、成人であれば筋トレや走り込みで強化されるが、子どもには適さない。子供の場合、自分の体重を使った様々な運動をすることで自然に養われていく。回ったり、跳ねたり、鉄棒や雲梯、綱引きやロープ登りなど「36の基礎運動」をしっかりやることで強化される。体育の授業は本来、身体を鍛えるもの。跳び箱やマット運動、鉄棒などの器械運動は、基礎体力を鍛えるのに有効な運動でサッカーや野球などのスポーツにとっても有効に作用する。
・投げる運動が苦手な子供には投げ方を教えるのではなく、まずボール投げの楽しさに気付かせてあげることが大切。投げる運動を繰り返す中で、投運動に必要な体力運動能力が鍛えられ、かつ、運動感覚が養われていく。投運動の能力が高まってきてから高度な投げ方を教えたら良い。これは全ての運動競技に言えること。
・子供を褒める時は他の子と比べるのでなく、できたことを見つけて褒めてあげる。ただし、褒めすぎると、子どもは褒められることが目的になり、褒められないと刺激を感じなくなる。つまらなく感じてしまう。だからこそ、認めてあげるのが大切で、「今、できたね。どうやったのか教えて?次はこれをやってみれば?」と持っていく。それで、運動が好きなり、上達するための一つの導き方。
・楽しかった?と聞くのではなく、本当に楽しんでやっているかどうかを親は観察する。
・良いトレーニングをした結果、試合に勝つという結果が得られるわけで、そのプロセスを無視してはいけない。
・報酬は運動能力の向上に役立つ。運動する時間を増加させ、リカバリーの質と量も増える。
・走るという基本動作は跳躍力、上半身や上肢の体力向上も養う。
・「わかった?」と聞くとどう見てもわかってないのに「わかった」と答える。そこで「怒らないからわからないことはわからない言ってみな」と言うと「実はこの部分がわかりません」と反応が返ってくる。そういう姿勢が大切。
・身長に適したスポーツをすることでそれだけで有利に働くことがある。
・成長期にある小中学生は9時間は眠る必要がある。日中の数十分の昼寝も有効。
・体力、筋力は積み重ねが大切。技術は突発性を伴う。リフティングを例にすると100、200回できるようになったら、もうそれは習得済みなので次の技術的チャレンジに移行した方がよい。6、7割の完成でひとまず良しと考える。
・運動能力が高い子供の方が「自信がある」「積極的」「粘り強い」「好奇心旺盛」等の意欲に関する項目と、「友達関係良好」「社交的」「リーダー的存在」等の人間関係に関する項目の両方とも高い傾向を示す。「引っ込み思案」は運動能力の低い群の子どもに多い傾向にある。
・運動を行って、「できた、やれた」で親に褒められたり友達から「かっこいい」などと言われると「有能感」が芽生え、それが積極性、活動性、運動好きにつながり、運動能力の向上につながる、良いスパイラルになる。逆もありえるので注意する。
・子供は瞬間を生きている。楽しんでいればそれでいい。
・親の社会的な通念を、子どもの世界に持ち込んではいけない。大人社会の能力主義、結果主義を持ち込まない。子供はすべてが遊びで非日常的行為の連続なので、社会通念と切り離す必要がある。